移住者に聞く
2021年12月14日(火) | 軽井沢のこと
自身のホームページ「くみくら」で、実体験をもとにした軽井沢生活の驚きや戸惑いを、ユーモアたっぷりに発信。1991年に東京から軽井沢へ移住し30年、久美沙織さんに「軽井沢生活のリアル」を聞きました。
小説家 久美沙織さん
1959年、岩手県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。1979年「小説ジュニア」にてデビュー。代表作『丘の家のミッキー』(全10巻)『東京少年十字軍』『獣蟲記』など多数の小説のほか『MOTHER』『ドラゴンクエスト』のノベライズ作品も手がけている。note(https://note.com/kumisaori)で、犬をテーマにした小説を無料公開中。
静まり返った夜に感じた人がいないという怖さ
—移住したのは1991年、上信越自動車道も新幹線も開通前ですね。
東京からクルマで来ると、群馬県の前橋からは下道でした。碓氷の山を蛇行して越えてくると、決まって具合いが悪くなるんですよね。軽井沢に来るようになって、初めて分かったんですけど、高地順応がすごく苦手なタイプだったんですよ。すぐ慣れましたけど、高山病体質の人は最初は苦しむかもしれません。
—軽井沢に通年で暮らすようになって、驚いたことは。
一番衝撃的だったのは、人がいないこと。夏にしか人が来ないような山の中の別荘地なので、特に冬は(アニメ『鬼滅の刃』に出てくる)家のような僻地感というか、人里離れていることを強く感じましたね。夜は真っ暗で静かだし、何かあったときどうしようという怖さがありました。今はもうすっかり慣れて、東京の夜の明るさや、知らない人がすぐ近くにいる環境の方が、逆に怖いです。
—「くみくら」でも書いていらっしゃいますが、やはり冬の寒さは堪えましたか。
東京の人からすると、軽井沢は11月から4月まで6カ月間が冬のようなもの。(長く軽井沢に住んでいる)私たちは、それを冬と言ってしまうと悲しくなるから、あまり言わないようにしていますけど…。寒がりの人だと、暖房にかかる費用はものすごいことになります。最近は、冬でも温かな年が増えてきましたけどね。
—移住して良かったと感じることは。
四季というか、自然をじわじわ楽しめるんですよ。東京にいたらクリスマスやバレンタインなどで季節を意識していたけど、軽井沢では自然が教えてくれる。フクジュソウが咲き始めたとか、コブシが花をつけたとか。たまたまワンコの散歩で夜に外へ出たら、流れ星がいっぱい流れていたり…。こっちから探しにいかなくても、ふと目に入ってきたり、聞こえてきたりして、そういう出合いはすごく幸せかなと思います。
続きは『軽井沢に住む。』雑誌版に掲載されています。
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